コンポーザーとは、「作曲者」のことです。
ゲーム業界では、「音屋」「サウンド」「サウンドクリエイター」
などと呼ばれています。
ゲームに合わせて音楽を作ってくれる職業の人ですね。
一見、ゲームにおける音楽の存在は軽んじられているようですが、
ゲームにとって音楽は非常に重要な要素です。
音楽とゲームがいかにマッチしているか?これによりゲームから感じる
面白さが微妙に変わってくる。
また、ゲームのSE(SeoundEffect)1つ取っても、それで爽快感が
全然変わってくるんですよ。
敵を思いっきり殴る音、切る音、それから銃の発砲音、これらがハデだから
爽快感を感じる、という部分がありますよね?
また、リアル系のゲームでは、無音の中での歩く「ジャリジャリ」という音、
歩く場所によって音が違うという臨場感、これもゲームプレイの「質」を変えます。
こういう音がもし曇っていたら…音質が低かったら…台無しですよね?
私の場合、そのSEが使われる「頻度」にフォーカスを当てていました。
使われる頻度の高いSEは、質高く。あまり使われないSEは、ほどほどに。
よく使われるSEほどプレイヤーの耳に入りますし、SEだけでなく
曲自体もよく使われる曲にはこだわっていました。
リテイクを何度も出しましたね。
サウンドメモリはけっこう少ないですから、コンポーザーさんとの
戦いでした(笑)。「無理言うな!」とよく怒られたのを覚えています。
ゲームの音楽が好きな人は分かると思うのですが、ゲームの曲って
よく耳に残るんですよ。
それはなぜだと思います?
それはゲームが感情を揺さぶるものだからなんですよ。
人は感情的になった場面の物事は、よく覚えているんです。
人の脳は、感情が記憶のインデックスになっているんですね。
だからゲームで興奮したときの曲やSEを聴くと、その感情が
蘇ってくる。
よくありますよね?昔のゲームの曲を聞いたら、そのときの
気持ちをすごく鮮明に思い出すなんてことが。
ゲームの内容だけでなく、そのゲームをプレイしていたときの
家庭環境とか、学校の思い出なんかもよく思い出しますね。
私はドラクエIIIの音楽を聴くと、冬に駅前をチャリンコで
走り回ったことを思い出します(笑)。それも映像とともにありありと。
よくドラクエの曲は名曲だと言われますが、私は曲自体だけで
なく、ゲームの面白さ、そしてプレイしていたときの環境の記憶が、
「名曲」と感じさせる大きな要因だと思っています。
人の記憶とは統合的なものなんですよ。
ゲームで使われる曲はゲームの規模にもよりますが、
20〜30ほどが平均だと思います。
プランナーからゲームで使う曲のリストをもらい、
口頭で曲の印象、感覚などを聞き出して、その抽象的な
リクエストを曲に落とす作業をします。
これは私と一緒に仕事をしたコンポーザーの方が言っていたの
ですが、だいたいの曲は「プランナーが好きな曲」を
作ることになるそうです(笑)。
これは音楽というものが非常に感覚的なものなので、
そういう指定の仕方しかできないからだと思うのですが、
参考として渡されるCDがその人の持っているCDの中から
選ばれることから考えても、ある程度しょうがないことでしょうね。
コンポーザーは、もちろん曲だけでなく、SEも作ります。
ゲームによってはSEは100〜300などということは
ザラですから、その選定作業や、ゲームに合っているかなどの
企画との詰め作業は、けっこう密度の濃い作業です。
また、声優のボイスのあるゲームは、何百もある音声を
DAT音源から切り出すという非常に地味な作業があります。
歌を作ることもあります。
そのときは作詞をしたり、どう歌うかを自分で音源に吹き込んで、
それを歌手に意図どおりに歌ってもらうなど、調整作業もあります。
声優や歌手は、プロデューサーが契約してきた音楽スタジオや
サウンド専門の会社から派遣されることになります。
(録音は専用のスタジオで行なわれます)
コンポーザーの仕事は作曲の仕事が入るとおよそ3〜6ヶ月ほどの
仕事になることが多いようです。
仕事のスパンが以外に短いので、よほど余裕のある会社で
なければ、お抱えのコンポーザーを持つことはありません。
ですので、ほとんどのコンポーザーの方は、フリーランスか、
専門の音楽スタジオに属しています。
ゲーム専門の音楽スタジオもあるので、ゲーム音楽が作りたい人は
そこに入ることが多いようです。
どうやってフリーランスのゲームコンポーザーになるか?というと、
私の知り合いの経緯で言うと、音楽がやりたいのだけれども
とりあえず需要の多いグラフィッカーやプログラマでゲーム会社に入社し、
仕事に慣れてきたころに、コンポーザーに転向するという例があります。
意外にこの転向の例は多いようです。
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